毎月行っている恒温恒湿室の校正作業、
今月も無事に終え 異常がないことを確認しました。
過去1年間の平均と比較しても、温度湿度ともに差がなく
恒温恒湿室の精度が高いことが分かります。
CILで行っている様々な試験において 恒温恒湿室は必要不可欠なため
毎月校正を行い現状を把握しておくことで、試験結果の信頼度へも繋がります。
■ 校正の様子
■ 校正結果
CILでの日々の出来事や、海外サプライヤーとの技術交流の様子等
毎月行っている恒温恒湿室の校正作業、
今月も無事に終え 異常がないことを確認しました。
過去1年間の平均と比較しても、温度湿度ともに差がなく
恒温恒湿室の精度が高いことが分かります。
CILで行っている様々な試験において 恒温恒湿室は必要不可欠なため
毎月校正を行い現状を把握しておくことで、試験結果の信頼度へも繋がります。
■ 校正の様子
■ 校正結果
前回、生物の状態をコントロールする自律神経についてザックリとご説明しました。 今回はこの自律神経の活動を推定する方法についてお話します。 前回ご説明したように自動車で言えばアクセルとブレーキに対応するように交感神経と副交感神経によってあらゆる生体器官が制御されていますので、様々な生体情報からある程度この自律神経の活動が推定できます。自動車で言えば加速している時はアクセルが踏まれているのだとか、減速している時はブレーキがかかっているのだとかが分かるのと同じです。生体では体温や血圧の変動そしてホルモンの分泌など、おおよそ自律神経の働きによって発現する生体反応に基づいて、そのもとになる自律神経系の活動を推定することが可能です。その定量的推定法の一例が、非侵襲的かつ客観的な心電図R‐R間隔変動に着目するものです。心拍は一見規則的に見えますが呼吸、血圧調節、体温調節などの影響を受けて常時揺らいでいます。 この変動を心拍変動(Heart rate variability: HRV)と呼んでいます。
この心拍の発生起源である洞結節は延髄の迷走神経背側核や疑核からの心臓迷走神経により抑制的支配を受ける一方で、脊隋交感神経節からの節後線維によって促進的支配を受けています。 そして、心拍数は吸気期には増加し、呼気期には減少します。たとえば、糖尿病性自律神経障害患者では副交感神経すなわち迷走神経が障害されることにより、その変動が小さくなるとの報告もあります。このように心拍変動の減少は疾病やストレスに対するき弱性を反映する一方で、その増大は以下に見るように発達あるいはストレスや病的状態からの回復ならびにリラクゼーションに関連します。
この心拍変動を定量化する方法で簡易なものは心電図RR間隔変動係数((coefficient of variation of R‐R intervals:CV)と呼ばれるものです。それは一般に心電図上の頂点であるRと次のR波との間隔を100個記録して平均値(m)を求め、その標準偏差(σ)との割合が、以下の式で算出されます。図1
図1. 心電図R-R間隔
CV(%)= m/σ ×100
この値は加齢によって減少する傾向が報告されています。 また、臥位から上半身45度に起こすと6.6%から4.0%に減少するとの報告もあります。
次に定量化の方法としてよく用いられるのが、このR-R間隔変動の周波数分析です。このR-R間隔を時系列に並べると、その変動は波型に推移します。図2
図2. R-R間隔の時系列(タコグラム)
一般的に複雑に見える波形の変化はいくつかの基本的な正弦波の組み合わせとして表現されて、またその基本波形への分解が可能です。つまりはその波を構成している主要な波が同定されます。図3
図3. R-R間隔のスペクトル解析
心拍R-R間隔のスペクトル解析を行うと0.1Hz付近を中心とする低周波成分(LF)と0.25Hz付近を中心とする高周波成分(HF)の要素が抽出されますが、その成分の大きさは生体の置かれた状況によって、つまり生体のストレス状態の依って大きく変化します。
例えば、ヒトにおいては横になると(臥位)HFの成分が増加し、立つと(立位)LFの成分が多くなります。 身体的だけでなく精神的ストレスがかかるとこのLF成分が相対的に増加します。 つまり、この二つの成分の比率によって交感神経あるいは副交感神経の優位性を推定することが出来ます。
CILへ 台湾合隆様、金利発様が来所されました。
サンプリングの手順から、かさ高、組成分析など複数の試験 手合せを行いました。
実際にお会いし、それぞれの知識や手法を共有でき、
貴重で有意義な時間になりました。
遠方からご来所いただき、ありがとうございました。
今ここ というときに気合が入らない、あるいは反対にゆっくりと休みたいときに何か緊張してリラックスできない。 このように体の オン ― オフ がうまくいかないとき、世間では自律神経の失調ではないかと言われます。
この自律神経とは何でしょうか?
ところで、自律神経のお話をする前に、より一般的に「神経」そしてその集まりである「神経系」とは何かをざっくりと説明しましょう。 われわれは日常生活において、実に多くの家電機器や情報機器 そして自動車といった大変複雑な働きをする様々な機器を使っています。それらの機器はその機器の使用目的を遂行するために、多くの場合は主に電気的信号によってその働きが制限されています。
一例をあげると、エアコンです。 希望温度以下になると、その希望温度より高くなると冷房機能が働きます。また、希望温度以下になると、その冷房機能が停止します。 そうして、室内の温度が一定範囲の中に納まるように制御されているのです。この制御のために必要なのが室温を感知するセンサーです。そして、この温度センサーからの情報を受けて設定温度と比較して判断する中枢部、そして判断に基づいて冷房機能を開始あるいは停止する実行部から構成されています。そしてそれぞれに段階で電気的信号がやり取りされています。 つまるところ、複雑さに違いがあってもすべての機器あるいはシステムと呼ばれるものはこの基本的構造は共通です。
ヒトをはじめ動物や植物においても事情はおおむね同じです。 とりわけ、動物においてはこのセンサーを司る部分を「感覚神経(あるいは 求心性神経)」と呼んでいます。知覚などの感覚器官からの情報を脳(中枢部)へと伝えます。一方、中枢部で判断された情報に基づいて対応する行動を随意的に引き起こす神経を「運動神経(あるいは 遠心性神経)と呼んでいます。 この2つを総称して「体性神経(系)」と呼んでいます。この体系神経系とは異なって、生物の生存によってやはり重要な機能である、循環、消化、排泄などの機能を意識することなく常時制御する神経系を自律神経(系)と呼びます。
この自律神経系の役割は、生体が下界との関わりにおいて最適な身体状態を提供することです。この自律神経系は対立する2つの働きがあります。 生体を活性化するのが交感神経、そして反対にリラックスさせるのが副交感神系です。 たとえば、動物が捕食行動に入るときには緊張・興奮状態が必要です。その時に働くのが交感神経です。 逆に休息時に働くのがもう一つの副交感神経です。 身体維持の機能は常にこの2つの神経系の影響のもとにあると言えます。交感神経が優位になると、心拍数が増加、気管支が拡張、消化器の機能抑制、血圧上昇、末梢血管収縮そして瞳孔の拡張が起こる。これらは、外的事態に対して何らかの行動を発動するときに必要な状態です。 一方、副交感神経が優位な時は、リラックスして、次の行動に備える場合です。心拍数は減少して、気管支収縮、消化液の分泌、消化管蠕動、血圧低下、そして瞳孔の収縮が起こります。つまり、自律神経とは自動車で言えばアクセルとブレーキに対応していて(図1 参照)、両者が上手くかみ合って初めて適切な走行ができるように、生体にとってもこれら2つの自律神経系の働きがバランス良く働いていてこそ、適切な生活が可能になります。
図1 自動車の制御とヒトの自律神経の働き
枕を購入する際、「高さ と 硬さ」を考慮することが多いかと思います。
しかし、この 高さ や 硬さ は販売している会社によって異なることが分かっています。
2016年 足利大学睡眠科学センターで市販の枕を調査したところ、以下のことが報告されています。
・枕の硬さは、7.6 ~ 53.3 ㎜Hg の範囲にあり、硬さのバリエーションは少ない
・枕の高さは 15 ~ 103 ㎜ の範囲にあり、様々な高さの枕が存在している
・測定販売用の枕の高さは 30 ㎜ ~ 55 ㎜ の間に集中している
・女性用としている枕は 高さ 30 ㎜ 程度と 45 ㎜ 程度で、硬さは 30 ㎜ Hg 以下である
・訴求枕(今までの一袋式)に高さの高い枕が存在している
・**先生が作った枕系等は、50 ㎜ 程度の高さで、柔らかい枕が多い
これは、枕を販売している会社ごとに高さ(高い・普通・低い)や
硬さ(硬い・普通・柔らかい)の測定方法が統一されていないことが原因と思われます。
※硬さの単位は ㎜ Hg となっていますが、この単位は圧力です。 従って体圧の数値で硬さを表現します。
弊所では 枕の高さ・硬さ測定器(足利大学方式)を導入しており、
高さ 硬さ を測定することが可能です。
測定する箇所は 「高さ= 頸椎部・側面 」 「硬さ= 側面」 としています。
硬さの測定箇所を 側面のみ としてる理由として、
枕の使用感を調査したところ、人間が枕の硬さを感じる部位は ” 頬 ” にあるようで、
頸椎部分は ” 痛い ” と感じない限り硬さが分からないためです。
追加の測定箇所として 後頭点部分も実施可能です。
ぜひ ご利用お待ちしております。
20年以上前は お客様から、かさ高 とはふとんの厚みですか?との質問が多くありました。
かさ高とは、羽毛の膨らみ度合い を数値化したもので「mm」で表記されます。
2012年 3月まで使用されていましたが、現在では 羽毛のかさ高性を示す指標として
ダウンパワー「cm3/g」表記が一般的となっています。
ダウンパワーとは 1gあたりの体積を表します。
☐ 試験方法
1. スチーム法で前処理をした羽毛 30gをステンレスシリンダー(内径 29cm)に入れます。 2. 荷重用円盤(94.3g)を乗せ負荷をかけます。 3. 2分後、試料の高さ(体積用スケール)を読み取ります。
ダウンパワーの数値が高いほど、同じ羽毛の量でもふくらみが大きく高品質な羽毛といえます。
CIL ホームページでは 試験方法はもちろん、装置 や 前処理 についても詳しく紹介しています。
1.開発の経緯
先行研究として、人の寝返り動作は個人差による影響が大きく、かつ複雑なことから、客観的な寝返り難易度を測定できないかという考えで、水平方向への引張荷重に対する腰部加圧子の傾きの変化を寝返りしやすさの指標として検討しました(寝返りしやすさ測定1 参照)。
ところが、実際の寝返りには連続した動作が行われることから、本報では、安福氏、梶井氏らの研究1)を参考にして、加圧子を水平方向に引き戻し運動をさせる際に生じる加圧子の傾きの変位に着目し、任意の距離(変位)および速度で加圧子に傾きを伴う往復運動をさせました。その際に加圧子の傾きに要する張力を連続記録することによってウレタン素材の硬度と加圧子の転がり動作に要する変位張力の関係を検討しました。その結果、任意の変位L[㎜]に対する張力F[N]の関係は、硬度が大きくなるにつれて、いわゆる硬い試料ほど変位に要する張力が大きくなるという結果を得ました2)。
単体のウレタン素材で得られた知見が、市販されている敷ふとんやマットレスにそのまま当てはまるのか、また実験に使用した試験器の検討を行うことにしました。
2.新しい測定器の開発について
腰部加圧子を用いた寝返り難易度測定器(試作)の概要を図に示します(図1)。腰部加圧子の直径は硬さ測定用加圧子(JIS K 6400-2)と同じ200[㎜]で下部の試料との接触面は凸200Rの曲面状となっており、重量は12.1[㎏]です。この加圧子は体重60[㎏]の人体腰部の沈み込みを想定しています。加圧子はリニアスライダーに固定されたロードセルにワイヤーで直結されており、リニアスライダーが任意の距離を往復運動することによって加圧子も往復運動します。その際、リニアスライダーの往復移動距離(変位)に対応してロードセルへの張力が連続記録されます。リニアスライダーの往復移動距離(変位)は加圧子の形状を考慮し、片道60[㎜]としました。なお、リニアスライダーの片道移動に要する時間は便宜的に5[sec]として10往復測定を行いました。試料とした敷ふとんは市販品を無作為に23枚選択しました。
図1. 寝返り難易度測定機
3.結果
先行研究では、軟らかなウレタンフォームほど傾きに要する張力は小さくなったことから、沈み込みの実測値が大きい試料ほど軟らかいと評価し、沈み込み量と張力の関係を検討しました。その結果、両者間には相関は認められませんでした。しかし、試料毎に変位張力曲線を検討するとそれぞれ特徴がみられました(図1、図2)。先行研究で用いた単一素材のウレタンフォームと比較すると、製品としての敷きふとん(23枚)はそれぞれ側地の素材、中材、つめ物、充填率および重量が異なり、また表面がフラットな物とキルティングによる大きなうねりがある物など形状も様々であることから、本研究で用いた寝返り難易度測定器による変位張力曲線は製品としての個々の敷きふとんの特性(特徴)を示していると考えます(図3)。 なお、この研究は日本睡眠学会第27回学術大会(大阪)で報告しています。
図2. 加重変異曲線の例 図3. 試料の硬度と加重変異曲線の傾き (ウレタン資料 KPA 215【N】) (KPA 215【N】と OGA【N】の比較)
図4. 変位張力曲線の比較 (試料 1:ウール 100%、試料 2:テンセル 100%)
参考文献
今年も桜に逢えました。
桜が咲くと一気に華やかになり、気持ちもポジティブに引っ張ってくれる感覚があります。
短い期間だからより特別で 時間を大事に過ごしたくなります。
毎年、桜との写真を載せているCILですが 今年は菜の花と ♪
春の太陽で きらきらの川と、菜の花に癒されます。
会社に咲いている桜!とってもきれいです!
そして やっぱりスイーツも ♡
また1年後、Happy な気持ちで春を迎えられるようにがんばりましょう ~ !
消費者が購入する際に 直接確認できないふとんの中材である羽毛 全ロットを事前に検査し、 確かな羽毛の品質を保証するためのラベルです。
年齢や体質と価格のバランスを考慮し 適切なものを選びやすくするため、CILでは羽毛そのものに10種類(バージン羽毛 7種類、リサイクル羽毛 3種類)のグレードを設けています。
今回は CILラベルの特徴を3点に絞ってご紹介します。 (ラベルについての過去ブログはこちら → ★2017.7.31 ★2017.11.30)
CILラベル ポイント1. 検索機能
CILラベルには シリアルナンバーが割り振られており、CIL HP から検索いただくことで 充填されている羽毛原料の品質、合格認定日の特定が可能です。
CILラベル ポイント2. サンプリング立ち合い
羽毛原料入荷後 全ロット検査を実施します。その際 CIL検査員が必ず立ち合い 原料羽毛のロット番号、数量、商品名、及びサンプリング日を正確に記載の上、 検査室に持ち込みます。
CILラベル ポイント3. ラベルの管理
不正防止のため、余剰分のCILラベルは 回収・処分 としており、 また、充填使用ロットに対するCILラベルの使用履歴をご報告いただき管理しています。
お客様が安心して羽毛ふとんを購入できるよう、CILでは サンプリングから検査、 ラベル発行後まで厳格に管理し、自信をもって行っています。
1.寝返りについて
人は一晩の睡眠中に20回から40回程度の寝返りをうっています。 睡眠研究においては体動と称され、筋電図法(EMM)により細体動(0.5秒未満の持続あるいは単一筋単位の収縮)と粗体動(0.5秒以上の持続や複数の筋の収縮をともなう)に分けて分析されています1)。睡眠中の寝返り(体動)の出現原因として、岡田氏らは寝床内温度を変化させ、寝返りと平均皮膚温および平均熱流量との関連を解析し、敷寝具表面温度の上昇に伴う皮膚温上昇を防御するためとしています2)。
ここで扱う「寝返り」とは、健常人が寝具の中で体幹の向きに大きな変化を与えることに限定します。また、寝返りをうつという動作は、例えば仰臥位から側臥位へ というように概ね寝姿勢が変化したことを指し、角度をどのくらい変化させたかという厳密な定義はありません。
寝返りのしやすさについては 敷寝具の沈み込みや、シーツおよび掛け寝具とパジャマ間の摩擦等も関係しています。さらに寝返りのしやすさには敷き寝具の硬さも影響します。硬いマットレスと比較して、軟らかいマットレスほど沈み込みが増します3),4)(図1)。したがって、体幹の沈み込み具合が寝返りのしやすさにも影響すると考えられます。
このように寝返りは寝床の中で行われるため多くの要素が関係しますが、単純にマットレスの硬さによる違いを検討することを試みました。そこで、その傾向を確認するための寝返り難易度測定器を試作し、引張荷重に対する加圧子の傾きを評価することで寝返り難易度を検討しました。
図1. マットレスの硬さと沈み込み
2. 測定器の試作
腰部加圧子を用いた寝返り難易度測定器(試作)の概要を図に示します(図2)。腰部加圧子の直径は硬さ測定用加圧子(JIS K 6400-2)と同じ200㎜で 下部の試料との接触面は凸200Rの曲面状となっており、重量は12.1㎏です。この加圧子は体重60㎏の人体腰部の沈み込みを想定しています5),6)。試料となるウレタンフォームに載せた加圧子を水平方向に引っ張ることによって傾きを与え、その引張荷重に対する傾きを測定しました。引張荷重は、100g間隔で0gから1500gとし、硬度の異なるウレタンフォーム10種類について測定を行いました。測定の対象となった試料は10種類で いずれもアキレス製の軟質ウレタンフォームです(表1)。 硬度は75(N)から280(N)で、この数値が小さいほど軟らかく、反対に大きい数値ほど硬いことを表しています。
図2. 寝返り難易度測定(試作)の概要 表1. 試料(ウレタンフォーム)
3. 結果と考察
試料となる10種類のウレタンフォームに載せた加圧子の引張荷重(0g~1500g)に対する傾きの散布図を示します(図3)。縦軸は加圧子の傾き、横軸は引張荷重となる錘の重量です。 各散布図に近似曲線を当てはめると、直線的な線形近似曲線が当てはまるものと、軟質ウレタンフォーム試験方法(JIS K 6400)の荷重-変異曲線に見られるような累乗近似曲線が当てはまるものがありました。このような違いは、それぞれのウレタンフォームの物性によるものと考えます。
結果として、硬度の数値が小さいウレタンフォーム、いわゆる軟らかいウレタンフォームほど錘の重量が増すにつれて加圧子の傾きが増加しました。また、錘の重量に対する各ウレタンフォームに載せた加圧子の傾きは、錘の重量が増すほど顕著に大きくなりました(図4)。これらの結果は、軟らかなウレタンフォームほど傾き易い、すなわち寝返りしやすいことを意味しています。また、硬いマットレスを好む人も多いと思われますが、硬すぎると肩など身体の凸部を押し返す力が強いために、逆に動作が困難になる場合があります。したがって、硬いマットレスほど加圧子が傾くときに加圧子底部の曲面を強く押し返すことが考えられます。
ただし、今回の実験に用いた試料は 全て中・高反発の軟質ウレタンフォームです。低反発ウレタンフォームは軟らかく 粘性が高いため、身体がフォームに沈み込みやすくなります。また、圧縮たわみ試験(JIS K 6400-2 B法)から求められる高反発ウレタンフォームのヒステリシスロス率は25~35%程度であるのに対し、低反発ウレタンフォームでは50~70%程度です7)。そのため、ヒステリシスロス率の差が多少なりにも寝返りのしやすさに影響するかもしれません。
図3. 各試料における錘の引っ張り加重に対する加圧子の傾き
図4. 引張荷重となる錘の重量に対するウレタンフォームの硬度と加圧子の傾き
参 考 文 献
軟質ポリウレタンフォーム|日本ウレタン工業協会 (urethane-jp.org)