荒川一成(理事)※元足利大学睡眠科学センター 准教授

2022年6月に科学技術振興会理事に就任しました荒川と申します。

現役当時研究を行っていた睡眠環境及び人間工学の領域から体圧分布の研究に取り組んでいました。

寝具業界における販売促進活動の一つとして体圧分布はよく活用されています。

販売する側も、また消費者側も理解しやすいこともあって、テレビや雑誌のネット販売等で頻繁に体圧分布の表示を用いた販促例をよく見かけます。

この体圧分布について、今回より数回に分けて専門的な紹介をします。

 

経歴

荒川一成

元足利大学睡眠科学センター准教授

併せて勤務中は、群馬大学社会情報学部非常勤講師、栃木県農業大学校研究科(労働科学)非常勤講師を務める。

快適寝具開発研究会技術顧問。

日本睡眠環学会理事。

令和4年6月、一般財団法人科学技術振興会理事。

専門は、睡眠環境学、人間工学。

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体圧分布について

我々は生活する上で、ほとんど無意識のうちに地球の引力に抗って生活しています。

つまり特別な場合を除くと、立っているときも寝ているときも、地球(地面や床)と接触している面に全体重をあずけていることになります。

したがって、その接触面積や接触数によってあずける体重の割合が変わってきます。

そのとき、身体の接触面が受ける圧力を体圧といい、一般に人が寝具に横たわった時に発生する体圧の分布が体圧分布です。

体圧分布という名称は、現在 寝具業界における販売促進活動において最も使用されている用語のひとつです。

体圧分布を測定する機器(システム)は、かつてはまだ特殊なものであって、目に触れる機会は多くありませんでした。

いまからちょうど25年前、ICHES’98(人間-生活環境系国際会議1998年)のサテライトシンポジウム(平成10年横浜国大)において「ふとんの体圧分布の測定方法」と題するパネルディスカッションが開かれ、体圧分布測定機器のメーカーおよび取扱い企業数社によって解説と実演が行われました。

圧力抵抗性センサ型、感圧インク型、空気圧型等があってそれぞれ特徴があり、局部の体圧を測定するのか、全身の体圧分布を測定するのかといった目的に応じて機種が決定されます。

老人介護の場では褥瘡(床ずれ)予防対策を目的として使用され、寝具業界においては製品開発や販売促進に活用されています。

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大学での実験風景(当時)

 

以下、予定(未定)

2.体圧分布と体重

3.体圧分布とマットレスの硬さ

4.体圧分布と床ずれ(褥瘡)

5.体圧分布と寝具(その1、その2、、、)

6.体圧と体圧分布に関する事例研究(その1、その2、、、)

7.まとめ